【ADHDの脳内タイムマシン】なぜ僕らは「未来の不安」と「過去の後悔」に囚われるのか?

ADHD攻略

あなたの体は「今」にいるのに、心はどこか別の場所にいませんか?

こんにちは、「AmbiLabo」のAmbiです。

目の前の仕事に集中しているはずなのに、気づけば頭の中は昨日の失言を何度もリピート再生していたり。友人と楽しく話しているはずなのに、心は来週の仕事が不安で勝手にシミュレーションを始めていたり。

体が「今ここ」にあるのに、意識だけがポンコツで燃費の悪いタイムマシンに乗って、勝手に過去や未来へ出かけてしまう。この厄介な「脳内タイムマシン」は、ADHDの脳を持つ僕らが日常的に経験する現象です。

この記事では、なぜ僕らの脳がこれほど時空旅行を繰り返してしまうのか、そのメカニズムを解説します。そして、その暴走しがちなタイムマシンから穏やかに降りて「今」に帰還するための、僕が実際に使っている3つの具体的な操縦術を提案します。


【Labo】なぜ僕らの脳は「時間旅行」をやめられないのか?

僕らの脳が「今ここ」に留まるのが苦手なのには、主に2つの科学的な理由があります。

1. 注意を切り替える「ギア」が、サビついている

ADHDの脳は、一度何かにフォーカスすると、そこから注意を切り離すのが少し苦手です。思考のギアがサビついてるみたいに、うまく切り替えられず、同じ思考のループにハマりやすい。これを専門的には注意の切り替えの困難性と呼びます。

2. 脳の「デフォルトラジオ局」が、お悩み相談専門チャンネルになっている

僕らの脳には、何もしていない時に勝手にスイッチが入る「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という回路があります。ADHDの研究ではこのDMNの活動が過剰になりがち。その結果、ぼーっとしていると、脳のラジオが自動的に「DJ後悔」と「DJ不安」のお悩み相談専門チャンネルにチューニングされてしまうんですね。


【Ambi】暴走するタイムマシンを「今」に着陸させる3つの操縦術

ご安心を、パイロットの免許は要りません。僕らは賢く「操縦桿」を握るだけです。

操縦術①:「五感」で緊急着陸する

思考が過去や未来に吹っ飛んでいると気づいたら、すぐにこの「五感を使った実況中継」を始めます。これは意識の緊急着陸訓練だと思ってください。

  • 目に見えるものを5つ、心の中で実況する (「PCのモニター、よし」「青いペン、発見」)
  • 肌で感じるものを4つ、探す (「椅子の背もたれ、硬い」「服の袖、柔らかい」)
  • 聞こえる音を3つ、耳を澄ます (「PCのファンの音…」「遠くの車の音…」)
  • 匂いを2つ、嗅いでみる (「コーヒーの香り」「部屋の匂い、まあまあ」)
  • 味わえるものを1つ、確認する (「口の中に残るミントの味、まだいける」)
操縦術②:呼吸という「錨(いかり)」を降ろす

意識が嵐の中の船のように揺れている時、いつでも僕らを「今」に繋ぎ止めてくれる重い錨、それが「呼吸」です。

目を閉じて、ただ自分の呼吸に集中する。鼻から空気が入り、肺が膨らみ、お腹が上下する、その物理的な感覚だけを感じる。2秒で思考が逸れてもOK。「ああ、逸れたな」と気づいて、また優しく呼吸に意識を戻す。この繰り返しが、心の嵐を不思議と鎮めてくれます。

以前紹介したサマタ瞑想と同じ要領ですね。

操縦術③:「心配さん」との会議時間を予約する

未来への不安が頭から離れない時、無理に追い払おうとすると、かえって騒ぎ立てます。そんな時は、不安と「交渉」するのです。

「OK、心配さん、君の言い分はわかった。すごく大事なことだよね。だから今日の午後5時から15分、君のためだけに時間を作った。その時に集中して話を聞くから、今は少し静かにしててくれる?」

こうして「心配する時間」をカレンダーに予約してしまう。不思議なことに、脳はこうして一度ちゃんと話を聞いてもらえると約束されると、安心して静かになることが多いんです。


まとめ:あなたは自分の意識の「パイロット」になる

僕らの目的は、過去や未来について考えるのをやめることではありません。 過去の後悔や未来の不安に「意識をハイジャックされる」のをやめることです。

この記事で紹介した3つのツールは、あなたが自分の意識という乗り物のただの乗客ではなく、主体的な「パイロット」になるための最初の訓練です。 タイムマシンの操縦桿を、そろそろ本気で握ってみませんか?


この記事を読む上での重要なお願い(免責事項)

この記事で解説しているADHDの特性や、その活かし方に関する考察は、筆者自身の経験とリサーチに基づいたものであり、特定の生き方やキャリアを推奨するものではありません。

ADHDの特性の現れ方や、最適な環境は、一人ひとり全く異なります。この記事は、ご自身の特性を理解し、可能性を探るための一つの「視点」としてご活用ください。

また、この記事は医学的な診断や治療に代わるものではありません。ADHDの診断や治療、あるいは仕事や人間関係における深刻な悩みについては、必ず医師やカウンセラーなどの専門家にご相談ください。

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