好奇心旺盛な子犬を優しくしつけよう
こんにちは、「AmbiLabo」のAmbiです。
あなたの集中力は、鎖に繋がれていない、好奇心旺盛な子犬のようではありませんか?
さあ、やるぞと意気込んで仕事を始めたはずなのに、その子犬は新しい通知の匂いを嗅ぎつけて、あっという間にどこかへ走り去ってしまう。気づけば、全く関係のないサイトの野原を、30分も駆け回っている…。
もしあなたが、そんな元気すぎる子犬の飼い主なら、この記事はあなたのためのものです。 それはあなたの意志が弱いからでも、子犬が悪い子だからでもありません。 ただ、そのユニークな脳の特性に合った「しつけ方」を知らないだけなのです。
この記事では、その子犬を無理やり罰したり、鎖で縛り付けたりする「根性論」を捨てます。 代わりに、賢いルールと環境で、喜んであなたの仕事を手伝ってくれる最高のパートナーに育て上げるための、具体的な3つの戦術を提案します。
【Labo】なぜ僕らの「集中力」は、すぐに迷子になるのか?
僕らの集中力が、まるで言うことを聞かない子犬ちゃんのように振る舞うのには、ちゃんと科学的な理由があります。
1. 新しい刺激を求める「ドーパミン中毒」の脳 ADHDの脳は、脳内の報酬物質であるドーパミンが大好き。 常に新しくて面白い刺激を求める「新規性追求」の傾向が強く 単調な作業から得られる、少量のドーパミンでは満足できません。 だから、新しい通知や面白そうなウェブサイトから得られる 大量のドーパミンの誘惑に、つい飛びついてしまうのです。
2. 脳の「付箋」が、小さくて剥がれやすい 僕らの脳のワーキングメモリは、よく「脳のディスプレイに貼る、小さな付箋(ふせん)」に例えられます。 ADHDの脳の特性として、この付箋が、人より少しだけ小さかったり、粘着力が弱かったりするのです。 だから、目の前の作業(大事な付箋)に集中している時に、別の面白い考え(新しい付箋)が浮かぶと、その新しい付箋が、古い大事な付箋の上に覆いかぶさってしまったり、ポロッと剥がし落としてしまったりします。 一度剥がれ落ちた付箋は、もう見つかりません。これが「あれ、何してたんだっけ?」の正体です。
3. 「やらない」を我慢できない、衝動性 「スマホをチェックしたい」という衝動が生まれた時 その行動を「やらない」と抑制する、脳のブレーキ機能が 僕らの脳は少しだけ苦手です。 そのため、目の前の誘惑という名のおやつに つい手を伸ばしやすくなってしまいます。
【Ambi】好奇心旺盛な「子犬」を、手なずける3つの戦術
大丈夫。この元気いっぱいの子犬を、無理やり鎖で縛り付ける必要はありません。 賢いルールと、快適な環境で、喜んで仕事をしてくれるように、優しくしつけてあげましょう。
戦術①:究極の時間管理術「ポモドーロ・テクニック」
これは「25分集中して5分休む」という短いサイクルを繰り返す、ゲームのような時間管理術です。「ポモドーロ・テクニック」といいます。
- なぜ効くのか? 「たった25分」という短いゴールは、ADHDの脳にとって、集中力を維持しやすい最適な長さです。そして5分間の休憩が、脳が求める「新しい刺激」を、合法的に与えてくれます。 この「あとで、ちゃんとご褒美がもらえる」という安心感が、25分間の作業中に、他の誘惑に負けにくくしてくれるのです。
戦術②:デジタル環境を整える「デジタル・ミニマリズム」
物理的な机の上だけでなく、PCやスマホの中の環境を、徹底的にシンプルにします。 いわば、集中力のための「聖域」を作るのです。
- 具体的なアクション
- スマホの不要な通知を、全てOFFにする
- 集中したい時間は、サイトブロッカーを使ってSNSやニュースサイトを物理的に遮断する
- ブラウザのタブは、常に3つ以上開かないと自分と約束する
- なぜ効くのか? これは、そもそも「誘惑」が視界に入らないようにする、最もシンプルで強力な戦略です。目の前にお菓子がなければ、お菓子を食べたいという衝動も起きにくい。それと同じ理屈です。
戦術③:思考の「一時避難場所」を用意する
仕事中に「あ、あれもやらなきゃ」と関係ないタスクが頭に浮かんできたら、その思考を追いかけず、すぐに手元のノートやメモ帳に、書き出して、忘れます。
- なぜ効くのか? 「忘れても大丈夫。ここに記録したから」という安心感を脳に与えることで、脳は安心して、目の前のタスクにリソースを戻すことができます。 頭の中をごちゃごちゃした「保管場所」としてではなく、スッキリした「創造の場所」として使うのです。
手なずけたとき得られる、3つの嬉しい効果
この戦術を習慣にすると、あなたの心とパフォーマンスには、こんな良い変化が訪れます。
- 頭の中の「嵐」が、静かになる 「あれもこれも覚えておかないと」という、無意識のプレッシャーから解放されます。頭の中のザワザワが減り、驚くほど思考がクリアになるのを感じられるはずです。
- 目の前のことに、深く集中できる 脳のワーキングメモリという貴重な資源を、「記憶」のために使う必要がなくなります。その結果、解放された全てのエネルギーを、今やっている一つのタスクに注ぎ込むことができるようになります。
- 素晴らしいアイデアを、失わなくなる 仕事中にふと浮かんだ、最高のアイデア。「後で考えよう」と思っているうちに、大抵は消えてしまいます。子犬がそんなあなたのアイディアを拾ってきてくれるパートナーになるのです。
まとめ:僕らは集中力がないのではなく、集中力の「使い方」がユニークなのだ
僕らに集中力がないわけではありません。 僕らの集中力は、一度興味のスイッチが入れば、驚異的なパワー(過集中)を発揮します。
問題なのは、その使い方と、エネルギー配分だけなのです。
この記事で紹介した3つの戦術は、あなたのユニークな脳を、無理やり変えようとするものではありません。 あなたの脳が、最も輝けるように、外部の「環境」と「仕組み」を、優しく整えてあげための、賢いデザインなのです。
まずは、この中のどれか一つでも試してみてください。 きっとあなたの子犬は最高のパートナーになってくれるはずです。
【この記事を読む上での重要なお願い(免責事項)】
この記事で解説しているADHDの特性や、その活かし方に関する考察は、筆者自身の経験とリサーチに基づいたものであり、特定の生き方やキャリアを推奨するものではありません。
ADHDの特性の現れ方や、最適な環境は、一人ひとり全く異なります。この記事は、ご自身の特性を理解し、可能性を探るための一つの「視点」としてご活用ください。
また、この記事は医学的な診断や治療に代わるものではありません。ADHDの診断や治療、あるいは仕事や人間関係における深刻な悩みについては、必ず医師やカウンセラーなどの専門家にご相談ください。



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